第五話 「西条の今後のキャリアはどうなる?自己分析と他己分析 」
オリジナルコラム
2020/12/04

「例えば、『客観性や理論を好む』という点はどうでしょう?」
「理論ですか!?僕はどちらかという理屈抜きに突っ走る熱血タイプだと思ってすが・・・。」
「もちろん、熱い面もお持ちなのでしょう。でも、先程の調理雑貨店の前社長にはいろいろなデータや、時には規約なども提示して説得にあたっていましたよね。」

西条は、思いを巡らした。
「あの会社を落としたい。だって出店した伸びるのだから。」
その思いで突っ走ってきたけれど、確かに説得材料にはデータや客観的な事実を使ってきた。
「考えたことはありませんでしたが、『客観性や理論を好む』ってもしかしたら、少し当てはまるのかもしれませんね。」
「それから、西条さんの企画立案力と実行力は、素晴らしい。」
と、さらに田村は分析を続けた。
「せっかく仕事をしているのであれば、自分で企画を立てたいのは当然じゃないか。」
西条は、そう思った。
しかし田村によれば、決められた仕事を正確に速くこなすことに達成感を感じる人や、与えられた企画を滞りなく実行していくことに喜びを見出す人も大勢いるという。
「自分は当たり前だと思っていたことが、他の人には当たり前でない」という、至極簡単な事実を西条は改めて認識した。
「ジョハリの窓には、あと2つの窓があります。

西条さんは分かっているけれども、他の人は知らないご自身の素質、それが『秘密の窓』に、そして、西条さんも周りの人も気づいていない素質が『未知の窓』に入ります。」
「秘密の窓」に何が入るのかは、報告する必要はないものの、必ず考えておくよう、田村はアドバイスをした。
西条は、会社での立場に疑問を感じているだけで、今の仕事自体は嫌いでないこと。
これからも人と折衝したり自分の裁量で働ける仕事を希望していることを田村に告げた。
田村は思い当たる案件を簡単に西条に紹介した。
それは、事業継承を得意とするコンサルティング会社の営業職の案件だった。
業界が全く違うので、西条もなんと言ったらよいのか分からなかったが、まずは話しをきいてみたいとと回答した。
明日、先方の人事に確認し募集が続いているようであれば、求人票を西条にメールで送信するという。
西条は、ZOOM面談終了後に、
知ったばかりの「ジョハリの窓」を手帳に書いてみた。
秘密の窓には「他人からの評価が気になる」と書き込んだ。
そう、今回 田村に連絡したきっかけは、
自分ではなく、1歳年下で新卒入社した後輩が昇格したから。
「格好悪いけれど、きっとこういうことなんだろうな。」

「選択肢が多い方がいい。でも自分の特性を把握していないと、本意ではない選択をしてしまうかもしれない。望んでいたのとは何かが違う そんな働き方を毎日続けるなるなんて、絶対に嫌だ。」
面倒な課題を出すこともあるが、やっぱり田村に相談してよかった。
西条は心から思った。
(続く)
ストーリー:かみきち
イラスト:みむら
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