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第一話「辞めるか、辞めないか」それが問題ではない

オリジナルコラム

2020/08/02

緊急事態宣言が解除されても西条の会社では在宅ワークを推奨している。


ここ2か月程度、西城は出社していない。


当初は戸惑った在宅ワークも今や軌道に乗っていて、以前の会議、打ち合わせ、相談スタイルがいかに無駄が多かったのかと振り返っている。


15:00になった。


午後の社内メールのチェック時間だ(西条は社内メールのチェック時間を9:00、13:00、15:00、17:00と決めている)。


「2020年6月 昇格人事」。


他のメールと比べて極端に短いタイトルのメールを僅かな期待をしながらダブルクリックをした。


上位の職級から続くその文書をマウスホイールを何度か転がしていく。


該当と思われる当たりに自分の名はなかった。


しかし、1歳年下で新卒で入社した後輩の山崎の名が...


なぜだ・・・?


山崎は5年間一緒にクライアントコンサルティング部で共に営業をしていが、半年前パブリックリレーション部に異動したばかり。


営業成績も悪くはなかったが、昇格に値するほどではない。


パブリックリレーションで何か大きな仕事をしたのだろうか?


いや、聞いていない・・・


「もう、いい!」メールを閉じ、業務に戻ろうと試みた。


(あぁ、会社に行っていれば同期と一杯飲んで情報交換できたのに・・・)


とはいえ、こんな気持ちでわざわざ電話して話すのは絶対に嫌だ。


「退職?」とも思うが、あまりにも短絡的ではないか。


ふと、数年前の転職時に世話になったキャリアコンサルタントの田村を思い出した。




メール画面を立ち上げ、キーボードを打つ。湧きあがる気持ちを抑え、アポイント依頼のみの、簡略なメールを作成、送信した。



--後日--



「西条さん、お久しぶりです。連絡いただいて嬉しかったです。どうしました?」


キャリアコンサルタントの田村は6年前と少しも変わっていないように見えた。


少なくともZoomのモニタ-からでは。




気が付くと西条は、入社から今回のことを一人で一時間近くしゃべっていた。


「西条さん、6年前から比べるとずいぶん頼もしくなっていますね。


成果だって経験だって同年代の方よりずっと積んでいらっしゃる。


随分活躍しているようで、嬉しいです!」


転職を希望するのであれば、案件は高い確率で紹介できる、そう言った直後、


「でも、その前に」


田村は端的に指示を出した。


①時系列で仕事内容、成果をまとめる


②その中で最も達成感を感じたのはどれか?その理由は?


③これからどのような働き方をしたいのか?


西条は心の内を話せたスッキリ感を感じる間もなく、宿題をもらうことになった。


その声音の変化を田村は見逃さなかった。


ゆっくりとにこやかに


「西条さん、現状分析はマーケティングでも一番最初に行うことですよね。課題解決はそのあとですよ。」



--数日後--



西条はZoomから退出したあと、気持ちの良い脱力感を味わっていた。


日がのびたとは言え、窓の外は暗くなりつつあるが、視界が明るくなっているように感じた。


何よりも①②③という具体的How toを与えてくれたことが西条にはありがたかった。


メールでの宿題提出時に、次回のアポイントをオファーすることになっている。


転職も興味あるが、今はそんなことはどうでも良い。


宿題を片づけて、また田村と話しがしたい。一体、自分は仕事に何を求めているのだろう。


「年に数回、こうして田村さんと1on1のミーティングをもつのもいいな。」


これが西条の今日の結論である。


結果としてこの出来事が、西条とキャリアコンサルタント田村との新しい関係を築くきかっけとなるのだった。


(続く)

ストーリー:かみきち
イラスト:みむら

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